可愛い幼なじみの求愛
【楓 side】
僕の目の前には、恥ずかしさからか両手で自分の顔を隠している風菜がいる。
可愛すぎる。
お風呂から風菜がでた時や、エプロン姿を見るだけで抱きつきたくなる。
キスをしたくなる。
この前なんか廊下を歩いていると
『あの子、可愛くね』
『声、かけてみる?』
と、風菜のことをニヤニヤしながら見ている同級生が居た。
今すぐ、風菜は僕のものだからって言いたかった。
だけど、風菜の気持ちはまだ分かんないから。
嫌われてはいないけど、僕のことが恋愛対象として好きなのかどうか……分からない。
触れて、抱きしめて、色んな所にキスをしたい。
僕のものって言いふらしたい。
僕はそんな気持ちをずっと我慢してきた。
風菜に嫌われるのだけは嫌。
なのに、我慢できない。
あんなに可愛く水族館に誘うから。
僕が髪にキスした時、一瞬見えた顔が嫌そうに見えなかったから。
「ねぇ、手、どけて?」
「いや……」
「可愛い風菜の顔、見たい」
「無理……、今、真っ赤だもん」
全てが愛おしい。
「真っ赤な風菜も絶対、可愛いから見せて」
僕がそう言うと風菜は手を顔からのけた。
風菜の顔が見える。
潤んだ瞳、真っ赤な頬。
僕はごくりと喉を鳴らした。
反則すぎる。
僕の気持ちが溢れてしまう。
「楓くん……?」
風菜がこっちを見つめてくる。
「風菜」
僕は風菜の名前を呼ぶ。
そして、風菜の両目を左手で隠す。
「か、楓くん、何を?」
慌てたように言う風菜の唇に右手の人差し指と中指をそっと当てる。
「静かに…」
僕がそう言うと風菜はコクっと首を縦に振った。
『大好きだよ、風菜』
僕は心のなかでそう呟いた。
そして、僕の右手越しに風菜とキスをした。
次は、唇にするからね。