可愛い幼なじみの求愛
ーーーー翌日の朝
私はいつもと同じようにベットから起き上がる。
「うぅ……」
そして、こめかみをおさえた。
頭が痛く、身体が重い。
重い身体をひきずりながら、階段を一段、一段、慎重におりる。
おりるたびに、リビングからいい匂いが漂ってくる。
ドアを開けると、楓くんがいつものようにエプロンをつけて朝ごはんを作っていた。
昨日のこともあって、少し気まずい。
私が楓くんのことを信じられないのが悪いのに。
「風菜、おはよー!」
料理を作っている楓くんが振り向く。
すると、いきなり楓くんの表情が変わった、目が大きく開かれた。
「えっ?!風菜、どうしたの」
火を止めて、こちらへ走ってくる。
「顔、真っ赤だよ。熱あるんじゃない?」
楓くんが私のおでこに手を当てる。
「そう、かな?」
「おでこ、めちゃくちゃ熱いよ。熱はかってみて」
体温計を脇にはさんで体温をはかる。
身体がだるく、あついような気がする。
ピピピッと体温計の音がなったので楓くんに渡す。
「熱、すごいね。早く寝ないと」
体温計には『38.5』と数字が表示されていた。
熱あったんだ。
ボーッとする頭の中でそんなことを考える。
「二階まで上がれる?」
私の顔を覗き込む、楓くん。
「あがれる、はず」
「しんどくなったら僕に言ってね」
階段をゆっくりとあがる。
後ろには楓くんがいて、凄く安心する。
階段をあがるとそのつきあたりが私の部屋。
ドアを開けて入る。
「おじゃまします」
楓くんが私の部屋に入るのは初めてだ。
今日は奇跡的に散らかっていない。
私は布団の中に入った。
横になると身体が少し楽になったような感じ。
「しんどくない?」
楓くん、ずっと心配そうに私を見ている。
心配かけるばっかりだな、私は。
昨日も今日も。
「大丈夫」
天井を見ながらこたえる。
「良かった」
心配な表情から、少しホッとした表情にかわる、楓くん。
「朝ごはん食べれる?」
楓くんに聞かれて、思った。
そういえば、朝ごはん食べてないということ。
昨日、食欲がなくていつもどおりに食べなかったせいなのかお腹がとても空いている。
「食べれる!食べたい!」
「うん、分かった。ちょっと待ってて」
目を細めて微笑んだ楓くんは私の部屋から出ていった。