可愛い幼なじみの求愛

伝えるということ


【風菜 side】


私は彩奈さんを昼休み、空き教室に呼んだ。



彩奈さんに伝えないといけないと思ったから。



「彩奈さん、私!」



彩奈さんの目をしっかり見て言おうと、顔を上げる。



「か「楓くんのことが好きなんでしょ?」



『楓くんのことが好き』、そう言おうとしたとき、彩奈さんにさえぎられた。




しかも、私が楓くんのことが好きなのを知っていたよう………。



「斎川さんは楓くんのことが好きなのなんて知ってるわよ」




「……え…?」



あきれたように私を見る、彩奈さん。



いつから分かっていたのだろう。



「いつから…、いつから分かってたの?」



「あの日、私が斎川さんを呼び出した日。私が楓くんのことが好きって言ったら凄い顔してた。」



『あれは、凄い顔だったわ〜』、彩奈さんが思い出し笑いをしている。



そんなに、顔に出てたの……?



「で、あなた楓くんに告白するの?」



彩奈さんが笑うのをやめて、真剣な表情で私を見ている。



「したいな、って思ってる」



「そう、頑張ったらいいんじゃない?」



彩奈さんになにか言われるだろうと覚悟したいた割には普通な返事が返ってきた。



「え?」



「私のことは気にしなくていいわよ。もう、フラれたから」



え………?



彩奈さんの口から衝撃的なことが聞こえた。



「告白したの、だけどフラレた。」



割り切ったように見える。



だけど、寂しさが漂っているようだ。



「斎川さん!」



「はい?!」



彩奈さんが私に指を指しながら、



「私がライバルじゃなくなったって油断してたら、誰かに取られるわよ!前に言ったでしょ、『好きな人はいつまでも待ってくれない』って」



『頑張って』、笑いながら彩奈さんは言う。



彩奈さんは思っていたよりも、いい人かもしれない。



好きな人に一生懸命、思いを伝えて。



私に色々と教えてくれた。



教室から出ていこうとする彩奈さんに向かって声を張り上げた。



「彩奈さん、ありがとう!」



彩奈さんの言葉に悩んだりしたけど、本当に本当に、ありがとう。



私はそれを伝えたかった。



「ぜったい、ぜーったい、伝えるのよ」



彩奈さんは教室から出ていった。



彩奈さんの分も頑張ろう、そんなことはいわない。



自分のため、気持ちを伝えるために頑張るんだ。




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