可愛い幼なじみの求愛
4章

抱きしめてもいい?


【風菜 side】



「今日も疲れたー!」



私はそんなことをつぶやきながら坂をくだる。


 

今日は朝、雨が降っていたから歩きなんだ。




坂をくだるのは、楽だからいいんだけど……。



私は目の前に広がる道をじっと見る。




上り坂だ……。



嫌だな、そう思いながらも



よしっ!!



私は気合いを入れて、坂をのぼり始める。



すると



「あれ〜?風菜ちゃんだ」




そんな声が後ろから聞こえてきて、坂をのぼるのを一旦やめ、後ろを振り向く。



「水無瀬くん?」



「そうそう!俺のこと知ってくれてたんだ」



彼の名前は『水無瀬 理久』。



私と同じクラスの男子だ。



楓くんと同じく、女子からの人気が凄く、とてもかっこいい。



茶色の髪の毛、耳にはピアス、首にはネックレス。



そして身長が高い。



私服なのか、黒いシャツ、下はダメージジーンズをはいている。



「うん、同じクラスだから」



『えー、嬉しいな』、水無瀬くんは空を仰ぐ。



「風菜ちゃんの家ってここら辺なの?」




「そうだよ、水無瀬くんも?」

  

 
「そう!なんで俺達今まで会わなかったんだろうね」




実は私、水無瀬くんと喋ったことがあまりない。




だから、うまく喋れるか不安だったけど水無瀬くんのおかげかとても話しやすい。



「風菜ちゃん、僕と友達になろうよ」



水無瀬くんが少ししゃがんで私の顔を覗き込む。



「友達……?」



「うん、ずっと前から友達になりたかったんだよね」




水無瀬くんと友達になった世界線を想像してみる。



うん………、楽しいかもしれない。



家も近いかもしれないから遊ぼうと思えば遊べるし、何より水無瀬くんと仲良くなれそう。



「いいよ!」



 
「ほんと?!ヤッター!嬉しいな」


水無瀬くんは両手をあげて喜んでいる。



そして、



「ところでさ!」

 

急に水無瀬くんが私をじっと見てくる。



な、なんだろう……?



「な、なに?」



「風菜ちゃんって小さいよね」



………小さい……。




理解するのに数秒時間がかかった。



「身長が小さいってこと?!」



私の身長は156センチ。

 

これでも中学生の時よりも伸びたのに!



「違う、違う」
 


笑いながら私の方へ水無瀬くんが近づいてくる。



私は後ずさりしないで、水無瀬くんの顔をにらむ。



身長、気にしてるのに。



「なんか、小さくて抱きしめやすそう」



「…………え…?」




水無瀬くんが私の腕を掴んだ。



「ねぇ、抱きしめてもいい?」




急展開すぎません?!




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