可愛い幼なじみの求愛
「えっと………」
急に水無瀬くん、どうしたんだろう。
私を抱きしめたいって意味分かんない。
怖くはないんだろうけど………。
私は一歩後ずさる。
「なに、その反応。風菜ちゃん可愛すぎる」
私が後ずされば、後ずさるほど、水無瀬くんが近づいてくる。
すると、
「……何してるの?」
後ろから誰かに抱きしめられた。
抱きしめられたときに聞こえた声、体温を私は知っている。
楓くんだ。
好き、大好きな楓くん。
「この人、だれ?」
耳元でささやかれる。
くすぐったい………。
そして、私の心臓が大暴れしている。
きこえていませんように……。
そう思いながらも、返事をする。
「同じクラスの水無瀬くんだよ」
「そうなんだ」
楓くんの声はいつもとは違う声色をしている。
横を見ると近距離で見える楓くんの顔は笑っている。
だけど、怒っている。
いつもの声が温かい声なら、これは冷たい声だ。
「あの……この人は佐久間くん?」
『信じられない光景をみた』と、目を見開いて驚いている。
「うん」