一人より、二人?


 時間にしたら数秒…


 お互い見つめ合い、先に声を出したのは先生で。


 『雪菜か?』



 私は急に真っ黒に日焼けた自分が何だか恥ずかしくなりとっさに逃げ出そうとしたが手首を捕まれ、気が付いたら小さな私は抱きしめられていた。




 恥ずかしくて逃げ出したいのに、体が言うことを聞いてくれない。



 『雪菜だ、やっとあえた…』



 先生の声と息が私の耳を刺激する。



 私を抱きしめる腕に力が入る。



 『前よりもっと綺麗になって分からなかったよ』



 “うそ”



 毎日、土に汚れ、日差しを浴びこんなに変わったのに。



 両手で顔をグッと上げられ目と目があい『今は目が生き生きしていて、あの頃とは違う本当に綺麗になった』


 


 『会いたかった、けど、会えなかったらと不安もあった。まさか偶然に会えるなんてな』




 何で私に会いたいなんて、先生の患者だったから…



 どうして…どうして…


 こんな私とは違う美人な彼女がいるでしょう?



 あの人に比べたら私なんて…



 素直に私も会いたかったと言えたなら、でも頭にあの時の女性の顔が浮かんできて先生を見つめる目。



 あの人は先生だけを見ていた。



 会いたいと思いやっと会えたのに、なんでこんなに切ないの…



 
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