意地っ張りな恋の話


カフェオレをちびちびと飲んでいるヨルくんをちらりと見る。


″あの子はねえちゃんのもんだから″


ねえちゃんって、誰なんだろう。

絢くんのことを知ってる人だから、多分常連のお客さんなんだろう。

それともあたしの知らない絢くんの元カノとか?


そこまで考えて、また胸に不快感が込み上げてきて眉間に皺が寄る。

もう気づかないふりをするのは限界だと思った。あたしの知らないところで絢くんが他の女の人と何かあるということが、嫌で仕方ない。

きっと世間ではそれを″嫉妬″と呼ぶんだろう。

見たこともないヨルくんのお姉さんに嫉妬して、バカみたいだ。


「なー柚璃?聞いてる?」

「っ、な、何よ」

「まかない。今日カレーだって」


突然視界に入ってきた絢くんの顔に、凝りもせず心拍数が上がる。


「ん、スプーン」

「ありがと…」

2人分のカレーを手にさっさとテーブルへ向かった絢くんの背中を見て、

ふと思った。


この子こんなに大きかったっけ?

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