意地っ張りな恋の話
「マジレスしていい?」
「おお…どうぞ…」
「正直瑛ちゃんにしといたほうが幸せにはなれると思う」
真顔で言った絵菜はいつになく真面目な声色で。
なに言ってんの、と流せるような雰囲気じゃないことを理解した。
「その高校生くんのこと、好きなの?」
「そ、んなわけ…」
あ、やばい。
声が掠れた。
そんなあたしの様子にため息をついた絵菜は、さっき買ったコーヒーに手を伸ばした。
一口啜ってぬるい、と文句を言う。
絵菜はいつだってコーヒーはホットしか飲まない。
「高校生君はさ、もちろんこれから大学生になって社会人になるわけじゃん」
「…うん」
「もし付き合ったとしてね?その先に柚璃とずっと一緒にいる未来ってあるのかな」
いかにも。
潤くんはまだ16歳で、
あたしはもう20歳で。
社会人になるのだって、あたしのほうがずっと早い。
要するに、不安なんだ。
あの子はまだ若いから。