意地っ張りな恋の話


覗き込まれるように顔を近づけられれば自然と顔を背けてしまうあたし。

分かりやすく動揺するあたしの様子を見て、くっと笑った絢くんはさっきより幾らかご機嫌が直ったらしい。


よかった、とほっと一息ついたのも束の間。


するりと撫でられた頬の感触にうひゃ、と変な声が出た。


「な、何す…」

「それは俺のセリフだよ、何させてんだよ」


あームカつく、と言いながらあたしの頬をゴシゴシ拭く。その摩擦が容赦なくて結構痛いんだけど。


「なあ柚璃」

「ん?」

「先に謝っとくわ、ごめん」


謝っとくって何に対してだ。

不穏なセリフに身構えようとした瞬間、
再び腰と頭に回った腕にぐっと引き寄せられて、


気づけば絢くんの腕に捕われていた。


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