意地っ張りな恋の話
ヨルくんのお姉さんのこと、ヨルくんのこと。
説明して顔を上げると、怒り、悲しみ、後悔、色んな感情が入り混じった顔をした絢くんと目が合う。
「…ごめんな、柚璃」
そしてなぜか謝られた。
「なんで謝るの…あたし別に絢くんに何かされたわけじゃ、」
「俺がしたようなもんだ、俺のせいで…
肝心な時にそばにいなくて、こんなことになって」
こんなことになって、そう言いながら恐る恐るあたしの髪の毛に触る。
血が乾いてこびりついた髪の毛の束は、不自然な長さで短くなっていた。
今までなんとなくロングにしてたけど、これを機にボブにするしかなさそうだ。
「絢くんのせいじゃない」
ただただそれだけ言うので精一杯だった。
君のせいじゃない、君は悪くない。
それだけは確信を持って言える。
もっと言うなら、君が無事で良かった。