意地っ張りな恋の話



たまに思う。

絢くんはまだ高校生で、若くて、これからいろんな人に出会う。

本当に、あたしでよかったんだろうか。


とどのつまりあたしは自信がないのだ。


いつかあたしと一緒にいるのが嫌になって、
あたしを選んだことを後悔する日が来たりするんだろうか。


「…柚璃」

またも懲りずにネガティブな思考に陥りかけたあたしに声をかけた絢くんは、立ち止まってじっとあたしを見つめる。


「ん?」

「…んー……や、なんでもない」


なにか言いたそうな顔をして、でもやっぱり言わない。

最近そんな顔をすることが多い気がする。


「…なに、なんて言いかけたの」

「んー……や、べつに」

「何言いたかったの」

「…………柚璃は俺でよかったのかな、と思って」


いつになく弱々しい声に、思わず首を傾げる。

下を向いてどこか気まずそうにぽつぽつと喋る絢くんは、いつもの生意気な雰囲気はどこへやら。


年相応の可愛い男の子に見えた。


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