意地っ張りな恋の話
「……柚璃」
「…………さーて、そろそろ帰ろうかな…」
「俺も帰る、柚璃んちに」
「ぶはっ、」
ばぁか、冗談だよ、
そう言って笑った絢くんの目は全く笑っておらず、あながち冗談でもないらしい。
一応大人しく帰る準備をする彼の背中を見てため息を吐いた。
ああもう、
頼むから早く大人になって。
「…絢くん、早く成人してくれ」
「は?」
「…あたしだって堂々といちゃつきたいんだよお坊ちゃん」
ああ最悪だ。
ちょっと素直になろうと思ったのに、やけに早口になってしまった。
これじゃ″照れてます″って言ってるようなもんじゃん。
今日はとことん格好悪い。
…いつものことか。
「ほら、帰ろ」
「…人に見られなかったら良いんだ?何しても」
不穏な響きに思わず後ずさる。
その瞬間、頭から何か被せられて視界が真っ暗になった。