意地っ張りな恋の話



「…というわけだから。
今日はこの子がいるから、会えないのよ
ごめんね」

「……なんでソイツがいるから会えない、なるんだよ」

「え、だって…今から公園とか行くのよ?
絢くんが来てもつまらないかなと思って」

「つまんなくねぇから俺も行く」


俺も行く、その言葉を聞いて子どもが顔を顰める。
お前も来んのかよ、そう顔に書いてあるようだった。


「…なんだその顔」

「ねえゆり、こいつゆりのおとこ?」

「…んまーホシくん、おとこ、なんてそんな言葉いつ覚えたのよ
そんな言葉覚えなくていーの」


よいしょ、と声を上げながら子どもを抱き上げる。
まだ5歳の子どもなのに、ませた言葉遣いだこと。


顔を合わせるようにして抱き上げると、甘えるように胸に顔を擦り寄せてくる。

可愛すぎる、子ども最高。


大人よりも少し高い体温が心地よくて、小さな頭に頬を寄せた。



「………おいお前、なにさりげなく柚璃の胸触ってんだよ」

「絢くんなに言ってんの」

「いやだってこいつどさくさに紛れてしっかり柚璃の胸触って、」

「絢くん」


思ったよりも固い声が出た。
だってこんな、みっともないこと言うから。

まさか5歳児に、ヤキモチ?

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