意地っ張りな恋の話
「絢くんがパパになったら、きっとあんな風によく子どもと遊んでくれるんだろうね」
「…子どもはあんまり好きじゃない」
苦々しい顔をして言ってるけど、君もまだ半分子どもだ。
半分子ども。
その言葉が今の絢くんにはぴったり合う。
すっかり大人びた横顔を見ながら苦笑いした。
「……ゆり、ママは?」
不意にこちらへ駆け寄ってきた子どもが小さな声で呟く。
不安そうに揺れる大きな目があたしを見上げた。
「寂しくなっちゃった?」
「…うん」
「おいで、抱っこしてあげるよ」
手を広げるとするりと入り込んでくる小さな身体。
そりゃ不安だよね。
半日ママと会えてないんだもんね。
ゆっくり背中をさすってあげると、ぱちぱちと瞬きしていた目がとろりと落ちていく。
「…寝ちゃった」
胸にしがみついたままの子どもの顔を覗き込むと、長いまつ毛を伏せて寝てしまっていた。
「重くないか?」
「うん、大丈夫」