意地っ張りな恋の話
怒ったような低い声に思わず絢くんの顔をまじまじと見てしまった。
怒ってんの?
ちょっと機嫌悪くない?
「あ、絢くんは…バイト先の子なの
家まで送ってあげようと思って」
「だから良いって、子ども扱いすんなおばさん」
「んな…っ、おば、またおばさんって…!!」
「じゃあな、おばさん」
べー、と舌を出してさっさと歩いて行ってしまったその背中に、思いつく限りの罵詈雑言を投げつけたかった。
けどやめといた。
きっと彼はさっきのストーカーの件で気が動転していたに違いない。
だからあんな訳のわからないことを言ってたんだ、きっと。
「すげえ高校生だな…」
「反抗期って奴、かな…あたしにはいつもあんな感じなのよ」
「ふぅん」