意地っ張りな恋の話
「あー、あたし行ってくるね?」
エプロンを腰に巻きながらコーヒーの入ったポットを絢くんの手から引ったくる。
あたしが来るまで一人でホールを回してくれてるんだもん、
このくらいしたって良いだろう。
「おかわりでぇす」
「え…絢くんはー?」
「ちょっと厨房入ってるので私がやりますねー!」
有無を言わさぬ笑顔で彼女たちの不満は飲み込んで、さっさとおかわりをついでぺこりと頭を下げる。
まったく、最近あんなお客さんばっかりだもんな。
ちょっとだけ絢くんに同情する。