意地っ張りな恋の話
「そのかわり」
「そのかわり?」
「…夏祭り、あんじゃん
あれ行こうぜ」
「夏祭りぃ?」
そういえば、二駅離れたところで大きな夏祭りがあるって聞いた。
どうせバイト入れるつもりだったから興味なかったけど。
でもまあ夏祭り行ってノートコピーさせてくれるなら、安いもんか。
「良いよ、絵菜とかも誘う?」
「…や!絵菜は、ナシで」
「そう?まあ良いけど」
食い気味に被せられた言葉にキョトンとしてしまった。
なんかいつもと様子が違う気がする。
気になって口を開こうとした瞬間、目の前に差し出されたノートたち。
ぺらぺらとページをめくってみると、几帳面な字で講義内容が記されていた。
今どきここまでする大学生、コイツくらいしかいないだろうな。
「あー…最高…さくら様…さくら神…」
「なんだよさくら神て、」
ぶは、と吹き出した佐倉をもう一度拝んでおいた。
これであたしの単位は守られた。