意地っ張りな恋の話
「えーっと…まあ何、あれだよ
絢くんが怪我しなくてよかったよ」
「全然良くねえし、」
はあ、とため息をつきながら項垂れる。
その姿がいつもの小生意気さとはかけ離れて見える。
形のいい頭が目の前にあったから
なんとなくその頭を撫でてみた。
サラっサラの髪の毛にちょっとびっくりしながら、指通りのいい髪の毛に指を滑らせた。
「っ、なに…して…」
「あ、ごめんつい」
まん丸な目が、じっとあたしを見つめている。
その目を見ているうちに
つい最近まで中学生だった男の子が
危うく犯罪に巻き込まれるところだったことに改めてゾッとした。