意地っ張りな恋の話
さっさと回れ右して、無我夢中で駅まで走った。
あたし何考えてんだろう。
なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう。
絢くんが高校生なんだって改めて感じて、
高校生は高校生同士楽しそうだなあなんて思って。
それから、
絢くんの腕に絡みついたあの細い手。
脳裏に浮かんだ瞬間、言いようのない嫌悪感が湧いた。
「柚璃!!!」
後ろから追いかけてきた声に反応もできずに立ち尽くす。
そんなあたしの頭を乱暴に撫でたのは、佐倉だった。
「お前突然どうしたんだよ…あんな急に走って、びっくりするだろ」
「ごめん……」
「……なんだその顔」
顔を覗き込むようにかがんだ佐倉が目をまんまるにして言った。
どんな顔してるんだ、あたしは。