意地っ張りな恋の話
知らない人
◎◎
夏休みも早2週間が過ぎた。
今日も今日とてセミが鳴き、気温は35度越え。
「あっつ…」
あたしはというと、歩きながら独り言が出てしまうくらいには暑さで参っていた。
バイト先へ向かう途中、プールバッグを背負った小学生達とすれ違う。
いいなあ、今から水に飛び込むのか。
そんなことを考えながら、バイト先へと急いだ。
「涼し…」
ドアを開けると案の定、ひんやりとした空気があたしを包んだ。
あまりの気温差に思わず目を細めて堪能する。
「外もこのくらい涼しかったらいいのに…」
「それもはや夏じゃないだろ」
耳元で聞こえた至極まっとうな意見に思わず肩をすくめた。
振り向かなくてもわかる。
絢くんだ。
「絢くんやっほー」
「おー…早く仕事手伝って」
心なしかげっそりした顔の絢くんを見ながら、今日のお客さんの多さを悟った。