意地っ張りな恋の話



後々メッセージを見返したら、

″ゆり、いまどこ?″

″家帰ったの?″

″電話出て、帰ったかどうかだけでも教えて″

″おい無視してんじゃねぇぞ髪の毛ムシるぞ″



あたしを心配する言葉ばかりで、ちくりと胸が痛んだ。
最後の方はほとんど脅迫だったけど。


年下の子にこんなに心配させてしまって、素直に申し訳ないと思った。



「あの、絢くん」

「……何」

「ごめんね、あんな変な消え方して」

「……………」

「メッセも電話も、ありがとうね」

「…体調は、もう大丈夫なのかよ」

「あ、それはもう!全然!!」


元気元気、と腕を振って見せるとほっとしたように口角を上げた。

ほんの少しの表情の変化だったけど、笑ってるんだと分かってしまう。


野良犬にでも懐かれたみたいな気分だった。


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