意地っ張りな恋の話
そう思ったのも束の間、
絢くんが睨んでいたのはあたしの背後にいる人だった。
「小松なにさん?」
「お客様、ご注文は?
注文しないんならお帰りいただいてもよろしいですか?」
「あー…カフェオレで。
で、おねーさんの下の名前は?」
この空気に耐えられない。
相変わらず絢くんは謎の男を睨みつけてるし、
そんな謎の男は絢くんのことなんか目に入ってませんみたいな態度であたしの名前を聞いてくるし。
耐えられなくなってそそくさと厨房へ入ってカフェオレのオーダーを通した。
「あー…逃げちゃった。
まあいっか」
「お前誰?何がしたいわけ」
「口が悪いなあ、″絢くん″は」
「キッモ…なんで俺の名前知ってんだよ」
「ひどくないー?俺一応客なんだけど」
「何しにきたのかしらねぇけど二度と来んなよ、さっさと帰れ」
「んー…それは約束できないなあ
また会いにくるよ、柚璃ちゃんに」