意地っ張りな恋の話
「…まあいいわ。
で、柚璃、ナンパされたって話は?」
「いやよくねぇよ!!もっと興味を持てよ俺に!!」
「んー…バイト中にお客さんに話しかけられてさ、なんかその人あたしの名前知ってて」
え、なんで?
怪訝そうな顔で聞いてきた絵菜に、分からないと言う意味を込めて首を振る。
自慢じゃないけどあたしは別に友達も多いわけじゃないし、SNSでバズってる人でもない。
つまりなんであの人があたしの名前を知っていたのか、全く心当たりが無い。
「…なんか、ちょっと…」
「気持ち悪くないか…」
「だよねえ…」
やっぱりみんな思ったことは同じだったらしい。
あたしだけならまだいい。
絢くんの名前も知っていたということが、何より気持ち悪かった。