意地っ張りな恋の話



「…柚璃、お前そいつには気をつけろ」

「なんで?」

「名前知ってるのに知らないフリして近づいてくるヤツなんて普通じゃないだろ。
…絢って奴も、気をつけろって言っといて」

「瑛ちゃん…」

「佐倉…なんか年長者感あるよ…」


茶化すな、ちゃんと聞け、と喚く佐倉に適当に頷きながら
例の男の子の顔を思い出す。


ゆるいパーマの黒髪に、小さな顔。
高い身長、


………据わった目。


ああ、そうだ。

なんであの時ぞくりとしたのか今わかった。


目が全く笑ってなかったからだ。


ああいう目つきを“危ない目つき“って言うんだろう。


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