意地っ張りな恋の話










「…ほんとありがと。
助かったわ」

「なんか殴られそうになってなかったー?やんちゃだねぇお姉さん」


公園のベンチに座って脚をばたつかせる黄色い頭に缶ジュースを渡す。

悪気なく笑うその顔を見ていると、張り詰めていた気がどんどん弛んでいくのが分かった。


本当に、この子が声かけてくれてなかったらどうなってただろう。




振り上げた腕を下ろした絢くんのストーカー(?)のお姉さんは、
何も言わずふらりといなくなってしまった。

これからはなるべく夜遅くに一人で帰るような真似はしないようにしないと。


「お姉さん、絢ちゃんと仲良いの?」

「え?………や、別に…仲良くは…」

「仲良くないの?絢ちゃんよくお姉さんの話するから、仲良しなのかと思ってたのに」


あたしの話?


絢くんの口から語られるあたしはどんなものなのか気になって仕方なかったけど、

聞いたら負けな気がして聞かないでおく。

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