意地っ張りな恋の話
項垂れた絢くんの頭を眺めながら、
どうしようかと口を開こうとした時だった。
項垂れていた顔を少しだけ上げて
そのままあたしの首筋へ近づく。
彼の唇が首筋へ押しつけられるまで、ほんの一瞬。
少し汗ばんだ肌に唇を寄せられていることを理解した瞬間、顔がカッと熱くなったのがわかった。
「ちょっ…!」
慌てて目の前に迫った身体を押し返そうと手を突っ張る。
だけどそんな抵抗も虚しく、あっという間に両手を塞がれてしまった。
なにこれ、どう言う状況?
「…………嫌なんだよ」
「え?」
「アンタと、アイツが俺の知らないとこで話してるのとか、会ってるのとか
想像するだけで吐き気する」
言ってることがなかなか過激だけど、
言葉の意味を考える余裕がなかった。
唇を首筋にくっつけたまま話されるせいで、
息とか、色々こそばゆくて仕方ない。
どんどん上がっていく体温を感じたのか、絢くんがふっと笑った。