意地っ張りな恋の話



「聞いてる?」


そう聞かれたけど、まともに返事ができる気がしなくてだんまりを決め込んだまま。


ちゅ、とかわいい音を立ててやっと離れていった唇。

この子、本当に高校生?

いや、高校生にこんなことされて心拍数上げてるあたしもどうなんだ。


てかここ外じゃん。


いろんなことが頭の中を駆け巡り、ついに思考は停止した。


「…柚璃?」

返事をしないあたしを不審に思ったのか、絢くんが顔を上げた。


その瞬間あたしは容赦なく自分の頭を振りかぶって、


目の前の額に己の額をぶつけた。


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