意地っ張りな恋の話



「誰かさんにぶつけられた額がいてぇ」

「…………」

「あーいてぇなー…これ割れてんじゃねえかな、あれから2日もたつのに未だに痛え」


ぶちぶちと文句を言う絢くんの額はたしかに赤く腫れていた。

改めて自分が石頭だということを自覚した。

でもあれは頭突きされても仕方無いと思う。
外であんなことするなんて。


あの後放っておいたら何するかわからなかったし、あたしは間違ってないと思う。


「…大丈夫よ、割れてたらそんな痛がり方どころじゃないわよ」

「なんかふてぶてしいな」


あたしの態度を不服そうな顔で見つめる。

そんな視線から逃げるように、ひたすら食器洗いに勤しんだ。




< 99 / 183 >

この作品をシェア

pagetop