振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて
 婚約者一行……らしき馬車が城に到着したのは翌日の夕方だった。

 謁見の間に通された彼らがいったいどのような下心を持って現れたのかも知る必要があったのだと思うわ。
 だからお父様はそこでひたすらに待たせたの。
 わざわざサウスマルケリアから馬車で何時間も掛けてやって来たというのに、お父様も私も姿を見せないのよ。
 彼らからしたら、我がノースネクローブの護衛が周囲を囲む中、苛々は頂点に至った事でしょうね。

 どうしてそんな非礼をしたのか、娘の私にだってわかる。

 いくら国王同士で決まった話だといっても、お父様は本当は信用していなかったのよ。 これって所謂は政略だものね。
 だから婚約者とされる相手がどのくらいの人物なのか自分の目で確かめてみたかったのよ。

 私としては寧ろ、破談になってくれた方が良いのに。
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