振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて
「王が申されるにはそなたは騎士団の中でも剣の腕前は相当なものだとか。 他の騎士からの信頼も厚く、度胸があり、敬うべき相手への尊敬の念は絶やす意志を持たない。 そなたならば、我が娘を任せるに値するとな」

「勿体無いお言葉にございます」

「では、問おう。 そなたの側に控える者の身を明らかにせよ」

「その前に、陛下にお願いがございます」

「よかろう、申せ。 確かにそなたは石の如く頑丈そうだ」

「感謝致します」

 これを言葉にするならバチバチとでも言うのかしら。 まるで剣と剣を交える男の戦いのような?
 確かに度胸はあるようね。

 この婚約は私がサウスマルケリアに輿入れする意味ではなく、彼がノースネクローブに婿入りするものなの。
 第一王子のセオドールお兄様がいらっしゃるというのにね。

 つまり、お父様は私を外に出したくないのよ。
 だから彼は婿入りする為にやって来たの。
< 14 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop