振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて
忘れたい記憶
 婚約披露パーティーではなく、ただの夕食会。
 サウスマルケリアからの一行を歓迎する為にお父様の意向で催されたの。

 ノースネクローブ側のメンバーはお父様と私、そして宮廷職の面々。 サウスマルケリア側はユリシスとノーラ、そして宰相も。

 セオドールお兄様は西の国ウエストアルマの寄宿学校を卒業したものの、まだ帰国できていなくて夕食会には間に合わなかった。

 あら、それでも楽しかったわよ? 形式的にはね。
 謁見の間でのお父様達の緊張感漂う雰囲気とやり取りは私もうんざりしていたから。

 本意ではなかってにしても、万が一の場合は輸出入が無くなって経済が混乱に陥る可能性もあったのだから。 そんなわけで私の婚約の為に破談させるわけにはいかなった。
 我慢するのではないわ、そうするしかないのだもの。
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