振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて
「彼女は突然の事態に思考が追いついていない。 不安で心配で怖くて貴方以外の誰も頼れないし、信用できない。 きっと今も膝を抱えて震えていらっしゃるわ」

「言われずともノーラは俺が責任持って守るつもりだ」

 どうやって? これから私と貴方は婚約者、夫婦として生きるのよ。
 妾のノーラをひっそり影に置いてね。

「ノーラは貴方を愛しておいででしょう。 なのに彼女ではない女と婚約して婚姻にまで至り、尚且つ知らない土地で妾として影の存在で、誰からも祝福されずに生きるなんて可哀想だと思いませんの?」

「どうしようもできないのはわかっているはずだ。 例え、娘の君が陛下に懇願して今さら無かった事にはならない。 これは政略的な意味合いが含まれているのがわからないはずないだろう?」

 私が察するに、お父様が私を引き合いに出したのには理由があるのよ。
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