振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて
 私が一言の返事もする間もなく、ゆうりはほのかを連れて遠ざかって行った。
 一人、体育館裏に取り残された私は呆然とするのみ。

 私の気持ちも返事もどうでもいいの?
 今、どんな顔をしていたのかな。
 笑っていた? 気にしないで、そんな顔?

 それ以来、ゆうりとほのかがつき合い始めたという噂はあっという間に学年中に広がっていった。
 そして私には同情と哀れみ、地味女は振られて当然といった声と視線が広がっていく。

「はぁ……。 どうしていつも肝心な時に何も言えないのかな」

 学校の帰り道、毎日のようにゆうりと二人で歩いていた商店街を一人で歩く。

 明日から夏休みだというのに、欠片の楽しみもなくなった。
 まさしくトボトボ……といった心地で歩いていると、脇道からゆうりとほのかが手を繋いで出て来た。 そして私のわずか数メートル先を楽しそうに話している。
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