振られたはずなのに王女の婚約者が元彼だなんて

過去からの再会

　サウスマルケリアはその名の通り、南に位置した国。 気候が温暖なせいか、豊かに育つ食物は北に位置したこの国とは実り具合が少々違うらしい。 その為、我が国はかの国から豊富な食物を輸入している。

　対するノースネクローブは夏場が涼しく過ごしやすい利点があるものの降水量はやや多め。 ただ全般的な産業においてサウスマルケリアへの輸出が盛んな為、かの国は我が国に頼る政策を取っている。

　つまり、持ちつ持たれつといったところ。

　そんな両国間でこっそり行われていた、まさかの議題が私の婚約者探し。
　今までにも候補の選定はあった。 ただその度に嫌だと言って拒否してきたので、候補が候補のまま終わってばかりだった。

　だって知りもしない相手と夫婦になるだなんて絶対に嫌だもの。