エリート弁護士は、ショコラティエの彼女を独占欲で満たしたい。
パリからの帰国
――フランス、パリ。
「Ayaka, il est temps ?(アヤカ、そろそろ時間よ?)」
「oui mais un peu plus(でも、あとちょっとだから店長)」
ここは、パリ市内にあるチョコレート専門店・ピュルテ。店内にはキラキラと輝くチョコレートが並んでいる。
「もう、アヤカは本当に真面目ね」
「チョコレートが大好きなだけよ」
作業を終えるとそう店長に言った――私、双葉 郁花はパリにある老舗店舗チョコレート専門店“ピュルテ”で働く唯一の日本人ショコラティエだ。
「アヤカ、あの話本当なの? 辞めて日本に帰っちゃうって」
「エリー……うん、本当なの」
日本の製菓専門学校を卒業後、単身パリに来て二年が経つ。
いろいろあったが、正式にショコラティエとして働かせてもらうようになって自信もついた。私のチョコを買いに来てくれる人もいて、幸せな生活を送っている。だけど、夢だった自分のお店を開く目処がたったのだ。
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