エリート弁護士は、ショコラティエの彼女を独占欲で満たしたい。


「今から双葉さん時間ある?」

「はい、大丈夫です」

「旦那さんが今からどうですか? って……」


 それから先生の車で三十分走らせると、元和菓子屋さんの建物に到着した。


「安西さん、その子がお店開きたいって子かい?」

「はい。はじめまして、私双葉郁花といいます」

「わしは、橋本 登(はしもとのぼる)だ。よろしくな」


 橋本さんは、店内を隈なく案内してくれた。


「まぁ……こんなんで良ければ改装でもなんでもしてくれて構わねぇよ。それにこの土地は俺のだから、使ってもらえるなら家賃は安くするつもりだ」

「えっ、いいんですか?」

「あぁ。それにわしと嫁さんはチョコレートが大好きでな、毎月チョコレート届けてくれたらそれでいいわい」


 こんな好条件なところを断るなんて選択肢は私にはなく、即決した。


「ありがとうなぁ、良かった良かった」

「こちらこそ素敵なお店をありがとうございます」

「そうだ、これ今日の朝炊いた餡子で作ったおはぎだ。食べなさい」


 橋本さんは、思わぬお土産までくれてこの日は別れた。



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