エリート弁護士は、ショコラティエの彼女を独占欲で満たしたい。



「あっ、八神さん」

「昨日は『頼』って呼んでくれたのに。シラフになったら、苗字呼びになっちゃうのか。寂しいな」

「え、私名前で!?」


 私は昨夜何をしてしまったのだろうか。もしかして私が八神さんのことを……


「あはは、本当に可愛いね。まぁ、名前で呼んだのは本当だよ。それに誘ったのも郁ちゃんだし。だけど、責任はちゃんと取るつもりだから」

「え……責任?」

「俺は、郁花ちゃんが好きだ。ずっと、前から。パリに行って君のチョコレートに出会ってそれが日本人のショコラティエだって知った時すごいなって思った。その時、俺挫折しそうだったからすごく勇気をもらった。それから、何かあったときは君のチョコを食べて励ましてもらって……それで、日本人のショコラティエはどんな人だろうと思って雑誌を見たときはとても驚いた。こんなに綺麗な人が作ってるんだって。それから虜になっちゃって日本に帰国してお店を開いたって聞いた時も嬉しくてね……」

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