エリート弁護士は、ショコラティエの彼女を独占欲で満たしたい。



 本当に嬉しそうな表情で「でね」と言葉を繋げた。


「俺、二目惚れして。容姿もだけど、真摯に向き合うところとか気が利くところとか本当に全部。知れば知るほど好きになったんだ。だから、俺は君と結婚したい。君のこと幸せにする」

「……っ……」


 好きだって言われてなんだかとても混乱したけど嬉しかった。でも、本当は責任とかで話を作ってるんじゃないかと思ってしまう。


「責任とかじゃなくて、ですか?」

「あぁ。最初に行ったのは引き止めるためでさ……」

「ありがとうございます、八神さん。私、結婚します。八神さんと、こんなふうになったこと嫌じゃないです。むしろ良かったって思います……一緒にいることができるんだって思ったら」


 そう告げると八神さんは本当に?と私に問いかけた。私はそれに頷いて「うん。本当だよ」と彼の目を見て言った。
 一瞬、時が止まった感じがしたけどすぐ彼に抱きしめられる。


「ありがとう、一生……一生幸せにするよ」


 そう言った八神さんは初めて会った時のように優しく微笑んだ。ただ違うのは……


「好きだよ、郁花ちゃん」


 彼の優しい声で言う愛のこもった言葉だけだ。
 私もいつか、彼に同じ言葉を言えるといいな。そんなことを思いながら、ありがとうと答えた。



             end
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