【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「そうですね!碧人さんはいつも正しいですもんね!
正しくて偉くて間違った道を選ばない…。
だから桃菜みたいな女のやる事なす事全部気に食わないのは分かりますッ!
でも碧人さんの正しさは時に人を追いつめるって事も覚えておいてよッ!
どうせ桃菜は間違った道しか選べないどうしようもない女ですよッ!!」

台所で言い合いをしていると、狭い小早川家では丸聞こえである。
茶の間から秀人さんと三姉妹が心配そうに覗き込んでいる。

私の言葉に碧人さんはぴたりと動きを止めて、何やら考え込んだように俯きだした。

碧人さんが私を心配しているのは、何となく分かっている。 視察だと言いながらもmarinに様子見をしにきている事も
私が働きやすい環境を整えてくれた事も

でもその優しさって一体何?
どうせ私の事を真白達のように子供だと思っているのだ。
それが私は悔しかった。

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