【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「桃菜ちゃーん、漫画の最新刊出たよー?先に読む~?」
「え、いいの?藍が先に読んでもいいわよ?」
「藍、宿題やらなくっちゃいけないからね。 桃菜ちゃんが先に読んでいいよー?」
「でも藍楽しみにしてたじゃないの~……」
「いいのいいの。朱莉ちゃんと一緒に宿題やるから先に読んじゃってよ~」
まだまだ小学生の藍の優しさには思わずきゅんとする。少女漫画よりよっぽどキュンキュンさせられる。
三姉妹一人見知りが激しく、出会った当時は私と口も利いたりしてくれなかった。
その藍が近頃私によく懐いている。
子供なんて嫌い。ガキなんて相手にしない。 そういうスタンスだった私も、藍の純真な可愛さには胸がとてもときめく。
無垢に向けられる愛情はどこまでも曇りがない。
ぎゅっと私の服の袖を掴み、藍は上目遣いで笑顔を見せた。