【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
小早川家の壁を突き破るような私の悲鳴が響いて、碧人さんの体を両手で押していた。
その反動で碧人さんの体が壁へ叩きつけられる。
「じ、事故ッ……ただの事故…!
事故なんだからね?!
あ、あわわわ……戻る…部屋に戻る…!!」
目の前がくらくらとして、頭が熱い。 目が…目が…ぐるぐる回る。
私の悲鳴を聞いて駆け付けた秀人さんと真白達が「ゴキブリでも出た?!」とちんぷんかんぷんな事を言っていたので、その場はそういっておく事にした。
頭の中がおかしくなってしまったのかもしれない。
私は「ゴキが…すっごく大きなゴキが…」と意味不明の言葉を何度も繰り返し、真白達の手を引いて碧人さんの部屋を出た。
驚きフリーズをしたままの碧人さんの顔しか覚えていない。 その位気が動転していた。