【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
嘘つき…。marinの系列店も出すから忙しい筈だ。 私の事心配して帰って来てくれたんでしょう?
そんな優しさ分からないはずない。
顔の半分まで布団を被って、その優しさに涙が出そうなのを隠す。
「寒いか?」
「寒くないもん……」
「まあ、確かにそうだろうな。すっごい汗かいてたし」
「やだ…いつから見てたの?変態……。桃菜の可愛い寝顔に欲情してんじゃないわよ」
「熱が出てるのに減らず口は叩けるものだな…。 すっげぇ不細工な顔して寝てたぞ」
「そんなの嘘だもん……桃菜が不細工な顔するわけないじゃん」
「それより一回着替えた方がいいぞ。 それに薬もまだ飲んでないんだろう?
俺お粥を温めてくるから、その間に着替えておけ」
それだけ言うと、碧人さんはゆっくりと立ち上がり部屋から出て行った。
それを見送った後、布団から起き上がる。
枕元にはポカリと子供が食べるようなお菓子が散らばっていて、その中にファッション雑誌が何冊か置いてある。