【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「蛯原さんが心配でお見舞いに来ました…。
失礼かとは思いましたが…連絡先を調べて住所を頼りにここまでやってきました」
「まるでストーカーじゃん」
「ちょっと!碧人さん!そんな言い方…!」
ストーカーというと瀬能くんは明らかに落胆したように肩を落とす。
冗談でからかったつもりだったが、瀬能くんを本気で落ち込ませてしまったようだ。
そんなの俺の知ったこっちゃないけれど。
「ハハ…本当に小早川さんの言う通り…俺ストーカーみたいな真似してしまって、ごめんなさい……。
ただ蛯原さんが一人暮らしだとばかり思っていて……風邪だって聞いて心配になって家まで押し掛けてしまったんです。
まさか、住所を頼りに来た家の前で表札に小早川って書いてあるのを見てびっくりしてしまったんですが……」