【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
欲しい物を欲しいと素直に主張する我儘さ。 それは幼い子供とよく似ていて
自分の妹達の幼い頃を思い出した。
クソ生意気で我儘で傲慢な女。 初めはそう思っていた。
一緒に暮らす事になったのも家無し職無しの彼女を一時的に預かり、その性根を叩き直す為。
なんだかんだいって……放っておけない所があったからだ。
そして彼女は、俺の記憶の中のみやびさんによく似ていた。
三姉妹の母親で、俺の義理の母親。 父親が15も年の離れた女性と結婚すると聞いた時は耳を疑った。
ちょうど思春期真っただ中、自分との方が歳が近い女性をどうしても母親とは思えない。
けれどみやびさんは、真白達が産まれた後も俺に彼女達と変わらぬ愛情を注いでくれた。
嫌だと言ったのに学校行事にも参加してくれて、子供っぽくて少し我儘な所もあったけれど…いつも笑顔を絶やさないような人だった。
少しだけ、真白達が桃菜に懐く理由が分かる。 記憶の中のみやびさんは、きっと桃菜に少し似ているのだろう。
事実桃菜は妹達と喧嘩しながらも仲良くしていて、意外にも可愛がってくれる。 家事も嫌いではないといって、真白に任せっきりだった家事を買って出るような子だった。
そこから少しずつ彼女への考え方が変わった。