【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「いやいやいや……てか、瀬能さん…何か誤解してます…」
はぁーと大きなため息をついて、桃菜は歯切れが悪そうに言った。
「まず……!はっきりしておきたいんですが、私は瀬能さんの事はなんとも思っていません!」
だろうな。それが正しい。
どーせ少しだけ可愛いと思って近づいただけだろう。
よく見て見ろ。 こいつは雰囲気だけで実はあんまり美人な顔はしていない。 …狸みたいな面は可愛いとは思うが。
だから相手の事を良く知らずに告白なんて良く出来たものだ。
本当の好きっていうのは相手の悪い所も認める事だ。
桃菜は我儘でぶりっこで、けれど実は口が悪く態度も横暴だ。
そんな悪い所だらけの彼女だけど、意外に面倒見が良い所もある。 きっと口では嫌いだといっても子供は好きだろう。
それに家事だって文句の一つや二つ言いながらもきちんとしていて、意外にもしっかりした所がある。
捻くれている部分があるが、そこまで悪い奴でもない。
ほ~ら、どうだ?俺の方が桃菜の事を知っているだろう。
子供染みていたが、心の中で瀬能くんへの優越感に浸っていた。