【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
「瀬能さんの事は仕事以外で良く知らないし…」
「それって俺の事は嫌いじゃないって事ですよね?
俺、これから蛯原さんの事をよく知って行きたいと思います」
真剣な目をしてそう言った瀬能くんに、ひくりと口元が引きつる。
振られてるんだから、さっさと諦めろ!思わずそう言いたくなった気持ちを抑える。
「いやあ…それはその…まあ一理ありますけど…」
桃菜も桃菜で満更ではない態度を取るから、こうやって男が言い寄ってくるんだろう?
いい加減誰にでもいい顔をするのは止めろ。
だから下らない男に引っかかって、長続きしないんだ。 またそう言いたい気持ちをぐっと堪え、二人の会話を生暖かく見守る。
「それなら俺にチャンスを与えてももらえませんか?
俺、絶対に蛯原さんを大切にしますし……
それに蛯原さんと小早川さんは付き合っているわけじゃないんですよね?」