【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
彼の言う通り、校内のグラウンドに咲いていた桜の花びらのように淡いピンク色の
可愛らしいんだけどどこか落ち着いていて、まるで仕立て上げてくれたように私にサイズもぴったりだった。
余りにも素敵な物だったからお金を払うと言ったけれど、彼はそれを拒否した。
全く碧人さんの考えている事は分からない。 そもそも最近の態度はおかしいのだ。
必要以上に優しくされると、本気で好きになってしまう…。
そうなりたくないから、碧人さんが私のような女を好きになるわけないと言い聞かせる。
でもどうしても駄目だ。これ以上一緒にいると、もっともっと好きになってしまいそうだ。
「桃菜ちゃん~!あお君!今日は来てくれてありがとう~~~」
式を終えて、朱莉が嬉しそうにこちらへ駆け寄って来た。
ぎゅっと私の腕を掴んで笑う朱莉は、今度通う事になる中学校の制服を着ていた。
子供だとばかり思っていたけれど、制服を着ると途端にお姉さんに見えてしまうから不思議なものだ。