【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた

「卒業、おめでとう。朱莉背が伸びたな」

「えへへ~そうでしょう~?
きっと桃菜ちゃんの身長なんてあっという間に抜かしちゃうんだろうね」

小早川家の女子は、これでも成長期が遅いらしい。
きっと朱莉にもいつか身長は抜かされるだろう。
中学三年生の真白にはとっくに抜かされている。

いつもヒールを履いていたから気が付いていなかったけれど、きっと数年後には朱莉にも藍にも抜かされてしまうだろう。

「25歳でもまだまだ背は伸びるのかな…」

ぼそりと呟くと、碧人さんは可笑しそうに笑いはっきりと言った。

「もう伸びる訳ないだろう。 大体桃菜の身長はずっと前から打ち止めだろう?」

「それどころか20歳を過ぎてから健康診断でミリ単位で縮んで行ったりするのよ…。
女の子は背が小さい方がモテるし可愛い~って開き直っていた事もあったけれど…
たまにすっごく不便に感じたり嫌な時もある」

「ハハ、俺には全然分からない感情だ。 嫌な時って? 背が小さくって可愛い所も可愛い桃菜の自慢だろ?」

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