【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
ちらりと碧人さんを見上げると、彼の頭に桜の花びらがくっついている。
そう例えば、こういう時
見上げる時首が痛いほど大きいあなたがいて、その頭についている花びらは…つま先を伸ばしても届かない。
碧人さんのような人には、いつまで経っても手が届かない。 そういう事を感じる時だ。
「碧人さん、頭に花びらがついています」
そう言うと、碧人さんは自分の頭に手を伸ばして花びらを指に取る。
少しだけ屈んで、歯を見せて笑うと私の髪に手を伸ばした。
「桃菜にもついている。 さっきからずっとついているの知ってたけれど」
「え~?どこ~?取ってくださいよぉ~~」
「今日着ているワンピースと良く似合っていて、綺麗だと思ったんだ」
そう言ってまた笑顔を向けるから、また心臓がドキドキと高鳴っていく。
こんなの勘違いしない方がおかしい…!
触れるか触れないかの距離で、風が大きく舞って薄紅色の嵐が吹き荒れる。