【完】ひとつ屋根の下、気がつけばあなたがいた
妹…。
きっと碧人さんは私を妹のようにしか見ていないだろう。
そんなの自分でよく分かっている。
でもわざわざ藤枝さんに指摘されたくない…!
「そうですね。優しい人ですからね、きっと同情しているだけだと思います。
それにしても藤枝さんってまだ小早川さんが好きな口ぶりですね」
嫌味ったっぷりで言ったつもりだったけれど、藤枝さんは表情の一つも変えずに私へと微笑みかける。
そういう余裕な態度も自分と違って苛々させるんだ。
「私達、お互いに嫌いで別れたわけじゃないから
いつかやり直す事だってあるかもね」
「へ、へぇ~~~……藤枝さんに小早川さんは勿体ないと思いますけど……」
精一杯口をついて出た強がりは、また自分を惨めにさせるものだった。
「蛯原さんは、碧人の事好きなんじゃないの?」
「全然好きじゃありません!桃菜のタイプじゃないもん!」